東京の井戸

年間70冊読む20歳が、あなたに。読書と着想を。

三秋縋『君の話』感想

今日は三秋縋『君の話』を読みました。小説です。

例によって、本の内容にはほとんど触れずに感じたことをつらつら書いていこうと思います。 

  

心を震わされた表現の数々

死ぬ前に、たった一度でいいから誰かに褒めてほしかった。労ってほしかった。哀れんでほしかった。小さな子供を相手にするように、無条件にすべてを受け入れて、優しく包み込んでほしかった。

君の話

 

そうして私の死後、その死を嘆き悲しみ、一生消えない傷として心に刻みつけてほしかった。私を死に至らしめた病を憎み、私に優しくしなかった人々を恨み、私のいない世界を呪ってほしかった。

君の話

 

失うものがないから怖くない、なんてただの強がりだった。私は何一つ手に入れられずに死んでいくのが怖い。身体の震えが止まらなくなるほどに。

君の話

 

君が僕を信じられないのもしかたないと思う。都合のいい話がすべて罠に見えてしまう気持ちは、痛いほどわかる。…でもね、人生にはときどき、そういう何かの間違いが起こりうるんだ。幸福なだけの人生がそうそうありえないように、不幸なだけの人生もそうそうありえないんだよ。君は君の幸せを、もう少し信じてあげてもいいんじゃないかな

君の話

 

 死ぬのと残されるのと、どちらが苦しいのか

誰かを愛した人は、必ずどちらかになる。

残して逝くか、残されるか。

僕は自分が最愛の人を残して死ぬのと、自分が残されるのと、はたしてどちらが苦しいことなのかと考えていた。

でも結局は、考える意味なんてないんだと思う。

人は唐突に、あまりに無力に死ぬから。僕らには、ふたつにひとつを選ぶ権利なんてないから。

相手の気持ちは変えられないけれど、自分の気持ちは選ぶことができる。

結局僕らはそのようにして、死と折り合いをつけていくしかないんだと思う。

 

オススメできる人

死を身近に感じた経験のある人、過去癒しがたい心の傷を負った人、日陰がなんとなく落ち着く人にオススメです。 

凍りついた心を優しく溶かしてくれる暖かさがあります。