東京の井戸

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心理学的に幸せを感じるたった1つの方法 -『しあわせ仮説』書評

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こんばんは。

皆さん、幸せですか?

今日はジョナサン・ハイト『しあわせ仮説』をもとに、心理学的に幸せを感じる方法について書いていきたいと思います。

 

人には、それぞれ「幸福の感受性」がある

近年の心理学の研究でわかってきたことは、人にはそれぞれ「幸福の感受性」とよべる幸せの感じやすさがあり、何も変化が起きないと、幸福度は自動的にある水準に収束していきます。

幸福の感受性が高く快を感じやすい人にとっては、普段の幸福度は高く、逆に感受性が低い人にとっては普段の幸福度は低いのです。

ちょっとよくわからない

 

嬉しい出来事で幸福度は上がるが、しばらくすると基準値に戻る

例えば、宝くじで6億円が当選したとしましょう。

当選した瞬間はとてもハッピーですね。

でも1ヶ月、2ヶ月、半年と経つうちに、幸福感はだんだん落ち着いていきます。

そして1年も経つ頃には、幸福度は宝くじが当たる前と同じにまで戻ってしまうのです。

確かに一時的に幸せを感じても、ずっと続くことは少ないね

悲しいことが起きたときも、同じように時間が経つと治るよ

このようにして一時的な変化で上がったり下がったりした幸福度は時間が経つと戻ります。

普段の幸福度は、「幸福の感受性」によって決まるのです。

 

「幸福の感受性」は遺伝で75%決まる

 実は普段の幸福度を決める「幸福の感受性」は遺伝で75%が決まってしまうと言われています。

残り25%は後天的に改善できると言われていますが、そのための手段としては認知療法やセロトニン再取込阻害薬(レクサプロ)の摂取など、医療の手に頼らざるを得ないのが現状で、すぐにできることではありません。

すぐできることとして、瞑想はかなり効果的だと言われています。瞑想についてはまた記事にしたいと思います。

生まれつき感受性が低かったら絶望だね

ところがそうでもないんだよ

 

感受性を変えられないなら、変化を起こし続ければ良い

ここまででわかったことは、

変化によって上がった幸福度も、しばらくすると元に戻ってしまう。戻ってしまう値は簡単には変えられない

ということでした。

だったら変化を起こし続ければ良いというのが、最近の心理学の考えです。

 

変化し続けるって、どういうこと?

変化とは、フレームワークとか成長とか自己啓発チックなことではなく、あくまで外的なものです。

例えば、交通量の多い幹線道路沿いに住んでいる人は幸福度が低い傾向にあるということがわかっています。

エンジン音のほか、慢性的に鳴るクラクションやサイレンが聴覚的に細かい変化をもたらし、それが幸福度を下げていると考えられています。

他にも不快で長い通勤時間や、軍隊など自分の時間の極端に少ない生活では幸福度が下がることがわかってるよ

 

幸福度を上げる変化の例1:「やりがいある仕事」

では、幸福度が上がる細かい変化には何があるのでしょうか。心理学的にわかっている2つを紹介します。

まず、「やりがいのある仕事」です。

仕事は通常、完全に同じ作業の繰り返しということはありません。

予想外の事態に対処したり、仲間と期限までに何かを作り上げたり、何かしら変化を伴います。

その仕事にやりがいがあれば、その変化は幸福度を上げる変化となるのです。

 

幸福度を上げる変化の例2:「整形手術」

意外かもしれませんが、整形手術は平均的に幸福度を上げることがわかっています。

外面にコンプレックスがある人は、自分の容姿に言及されることに関して知覚過敏となり、常時「幸福度を下げる細かい変化」に晒されている状態です。

整形手術によって普段の生活からその変化をなくすことは、幸福度を上げることに繋がるのです。

マイナスを取り除くとプラスになるということだね

他にも結婚とか交際といった親密な人間関係は幸福度を上げる変化を日々もたらすことがわかってるよ

 

意外と幸福に関係ないもの「財産」「年齢」 

こうした変化に対して、財産や年齢、人種や性別といった固定要因はあまり幸福度と関係がないことがわかっています*1

消費さえ、欲しいものを買うという通常の消費であれば一時的に幸福度が上がるのに対し、他人に見せびらかすために買う「誇示的消費」は幸福と関係がないことがわかっています。

 

まとめ:細かな変化を取り入れよう

さて、わかったことをまとめます。

  1. 変化はいっときの幸福感をもたらすが、やがて普段の幸福度に戻る。これはほとんど生まれつき決まってしまう
  2. 細かい変化を起こし続けることで、普段の幸福度より高い幸福度を維持することができる
  3. 幸せを感じられる細かい変化を歓迎することと、ストレスを感じる負の変化を生活から取り除くことが大事

幸せを感じられる「日々の変化」を大切にしたいね

 

紹介した本

*1:ただし、生活に困るほどの貧困水準では幸福度が大きく下がることもわかっています。毎日の食事に困る状態では、それ自体が負の変化要因となるのです。

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